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自然派ママのバイブル「幸せなお産が日本を変える」がまさかの衝撃的な内容だった件。

AYAKO
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自然なお産
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AYAKO
埼玉生まれ。さすらいの星よみライター。 2010年〜2015年、インド、ニューデリーの地で修行(仕事)に励む。日本語フリーペーパーの編集などの仕事に携わり、2015年秋にチベット人の彼と結婚。日本に帰国。 占星術をもとに日々をつづるブログ「CHARKHA NOTE」およびマクラメ天然石アクセサリーと占星術鑑定のネットショップ「CHARKHA STORE」を運営。

「自然なお産」信仰のもと、助産院での出産や自宅で自分たちだけで出産(プライベート出産)することを選ぶ方々がよくオススメしているこの本「「幸せなお産」が日本を変える

愛知県岡崎市の産院、吉村医院の医院長だった吉村正さんの著書。

自然なお産、幸せなお産をモットーに、医療介入のない昔ながらのお産を独自のメソッドを用いて提供している産院および医院長。

カンヌなどで数々の賞を受賞している映画監督、河瀨直美さんが、この吉村医院を取材・撮影し「玄牝(げんぴん)」というドキュメンタリー作品を発表したことでも有名になりました。

この吉村医院での自然なお産を望み、全国から妊婦さんが出産に訪れるのだとか。

わたし自身は「とにかく家からアクセスが良い場所で無事に健康に生まれてくればそれでいいや」くらいに思ってるので、近所の総合病院での出産を選びましたが。

お産にこだわりを持ってる自然派ママは、遠路はるばる自分が納得のいく出産をしに吉村医院までやってくるのでしょう。その気もちも理解はできる。

と思ってた。

この本「「幸せなお産」が日本を変える 」を読むまでは…。

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自然派ママのバイブルの内容がアレだった件

「幸せなお産」が日本を変える 」、一言でざっくり言い表すならば、近年稀に見るトンデモ本です。

著者の吉村正さんの主張はこう。

・自然なお産こそ「真実のお産」。自然なお産を経験することで女は本当の「母親」になり、本当の「女」になる。

・ストレスなく自然に生まれた赤ちゃんは「いい顔」で生まれてくるし、その後の育ち方も人工的な出産で生まれてきた子よりも穏やかでのんびりしている。

・逆子でも“ほとんど”の場合、自然に産むことができる。現代は医者が金儲けしたいから陣痛促進剤や帝王切開で無理やり産ませるようになった。

・ゴロゴロ、パクパク、ビクビクが現代妊婦が難産を引き起こす原因。

吉村正さんは名古屋大学・医学部卒の立派なお医者さんなのですが、もうね、書いてあることは何の根拠もないわけですよ。

ひたすら吉村正さんのお産に対する哲学や主張が書かれているだけ。

帝王切開によるお産を散々否定した上で、

「もし逆子を帝王切開で産まざるを得なかった方がいたら許してください。私の意見はひとつの極論だと思って聞いてください。」

とフォローして書いてる箇所もあるので、自分の意見がぶっ飛んでいるという意識はあるみたいですけど…。

自然なお産によって女は本当の女になる!

幸せなお産によって赤ちゃんは顔つきが変わる!穏やかな子になる!

昔ながらの暮らしをすることで赤ちゃんはスルッと生まれてくる!

そんなトンデモ話や偏った主義主張を、あたかもそれが真理であるかのごとく断言するスタイル。

これはもうカリスマ教祖の絶対的な資質がありますわ。フォロワー(信者)が多いのもわかる。

吉村医院の自然なお産スタイルなら、逆子でも安全に産めるのか?

逆子の場合は死産、難産のリスクが高まるために、帝王切開での出産になることが多いです。

ただし吉村医院長によると、

「100年前のように肉体労働をしっかりして、食べものをほとんど和食にして、医者よりも神を信じる心の状態にして、自然に従った生活をしていれば、ほとんどの逆子は下からつるつるに生まれるようになりました」「幸せなお産」が日本を変える P49より引用

だそうで。

ここまで帝王切開や医療介入によるお産を断固否定し続けてきたのに。この「ほとんどの逆子は」という部分がちょっと逃げてる気がしてならない。

実際に女優の吉本多香美さんは2010年に吉村医院で出産を試みるものの、逆子の出産が思うように進まず、けっきょく病院に搬送されて陣痛促進剤を使って出産されたみたいです↓。

でも、本当にいろいろあったお産でした。15日の明け方2時半に破水とおしるしがあり、そのまま吉村医院へ、その後10分間隔くらいで陣痛があり、子宮口もほぼ前回でその日の昼間位には産まれているかもって感じでした、でも、そこからが本当に長い道のりでした。
子宮から逆子の赤ちゃんのお尻が指で触れる位の所にまで降りきたのですか、その後お産がいっこうに進まず、約36時間以上、陣痛を耐え抜きました。

でも結局最後の最後に赤ちゃんを産む陣痛の力が足りず、豊田記念病院に救急車で搬送され、その頃は4、5分間隔で陣痛があったのですが。陣痛促進剤を使い、経膣分娩で逆子を出産しました!吉本多香美さんのブログより引用

うん…。まぁ経膣分娩っていうから帝王切開ではないけど、吉村医院長が「「幸せなお産」が日本を変える 」で書いていることとは矛盾が生じてますよね(汗)

吉本多香美さん、10年以上前に代々木公園のアースデイでジャンベを叩いてる姿を見かけたけど、やはり自然派信仰の強い方だったのね。

医療の発展が死産件数を減らしたという意見についての反論

「昔は医者がいなくても子どもは生まれてたんだ。」という自然なお産信仰に対する反論でよくあるのが、「でも医療が発展したから死産件数も減ったんだよ」というもの。

吉村正医院長にも、もちろんこの意見をぶつけた方はいたようです。

吉村医院長の講演で「医学が進歩したからこそ周産期死亡率が下がったのでは?」という質問があったそうな。

「昔は1000人のうち40人の赤ちゃんが生まれる時に亡くなっていたけど、今は1000人のうち7人くらいしか死なない、それは医学の進歩のおかげだ」という意見だったみたいですね。

それに対する吉村医院長の反論がこちら↓

私は思わず「バカを言え!」と言ってしまいました。40人死ぬはずが7人に減ったとしても、そのことは幸せか?「幸せなお産」が日本を変えるP98より引用

…幸せ?

そりゃ生きてる方が死ぬより幸せじゃないんか?

幸せかどうかなんて個人の感覚でしかないんだから、他人が決められることじゃないでしょ。

「いっぱい管につないだり、あちこち切ったりして、延命させたところで、はたしてそのことで人類の幸せが増したことになるのか?」と書かれてるので、この場合の吉村医院長の主張としては、医療介入により、昔は生まれる時に亡くなっていたような障害をもつ子どもが現代では死ぬことなく生まれてきて延命させられることは幸せなのか?と言いたいのだろうけど。

その意見、相模原の障害者施設「やまゆり園」で入所者が次々とナイフで刺殺された事件の犯人と同じ理論になっちゃいますよね。

そんな意見を言いつつも、一方で病院の検査で胎児が「無脳症」と診断された妊婦さんを受け入れ出産させる吉村医院長。

とある母親が、おなかの赤ちゃんが4ヶ月のときに超音波検査で無脳症と診断され、お医者さんも家族も中絶を勧めたにも関わらず、母親の「それでも産みたい。」という意思を尊重し受け入れたのだそう。

この赤ちゃんは最後に亡くなりましたが、その誕生は意味がないものだったのでしょうか?
(中略)
ただ、生まれてから死ぬまでの時間が短かっただけです。立派な1人の人生を生きたことに変わりはありません。「幸せなお産」が日本を変えるP82より引用

吉村医院長のこの理論でいくと、医療によって無理やり延命させられて生まれてきて障害持って生きてる子どもも、立派な1人の人生を生きてますよ?矛盾してませんか?

このエピソードに出てくるお母さんの気もちは理解はできますが。自分のおなかの中の子を障害があるからって簡単に中絶できないよね。

「お産は神事」の考えはちょっと賛成

「幸せなお産」が日本を変えるに関しては、いろいろツッコミどころが多すぎて言いたい放題書いてしまいましたが。

吉村医院長の哲学の根本にある「お産は神事」という信念には私も共感はできます。

人間に備わった太古の昔から変わらない機能をフルにつかって、1つの命を生み出すんだから。

体外受精だったとしても、生まれるまで育てるのはけっきょく女性のお腹の中だし。

だからこそ、可能な限り医療介入を避け、昔ながらの自然に近い状態で、出産を経験したい。

という女性の気もちもよくわかる。

ただこういう自然なお産信仰が行き過ぎると、医療介入があれば助かった赤ちゃんの生命が助からなかった、なんて悲しいことも起きてしまう可能性があるわけで。(それすら自然の摂理なので仕方ないというのかもしれないけど…)

助産院やプライベート出産などで自然なお産をするにしても、「何かあった時の現代医療」も否定することなく受け入れてバランスよく付き合っていったらいいんじゃないでしょうか。

「自分の意思で自然なお産を選んだのに、都合の良いときだけ医療に頼るのか!」っていう自己責任論を唱える人もいますけど。

そんなん自己責任で山とか海に遊びに行って怪我して病院に搬送される人もいるんだから、多めに見てあげればいいじゃん、って思いますしね。

今回ご紹介した「幸せなお産」が日本を変えるも、100%すべて真正面から著者の哲学を受け止めず、あくまで「お産に対するひとつの考え」として取り入れる、くらいの姿勢の方がいいと思います。

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埼玉生まれ。さすらいの星よみライター。 2010年〜2015年、インド、ニューデリーの地で修行(仕事)に励む。日本語フリーペーパーの編集などの仕事に携わり、2015年秋にチベット人の彼と結婚。日本に帰国。 占星術をもとに日々をつづるブログ「CHARKHA NOTE」およびマクラメ天然石アクセサリーと占星術鑑定のネットショップ「CHARKHA STORE」を運営。

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